どの道を行くべきか⑦

母は長らくしていたシルバーのアルバイトをやめるらしい。

「もういつまでやるの、って感じだし、お父さんももう毎日何もせずテレビばかり見て、趣味だった植物もやめちゃうし、なにもないのよ。それでなにかないかなあと思って、前から考えてたのよね。」

 

このまま死ぬまでアルバイトをするつもりではないそうで、思い切って前から考えていた家庭菜園をするらしい。

 

父も一緒に。

 

父は最初渋っていたらしい。だけどジャガイモ作って○○と○○(姉と私の名前)のとこ持っていったら、きっと喜ぶよ」

と言ったら、やると言ったそうだ。

 

正直迷惑だ。

そんな私は性格が悪いという事もわかっている。性格が悪いというか、幼稚というか。

ジャガイモは好きだ。家庭菜園も好きだ。野菜をもらうのも大好きだ。

 

でもそれを利用されるのはまっぴらごめんだ。

 

だけど私はそれを言わない。

「そうなのね。頑張って」

とだけ言う。

 

ただ、父が家庭菜園をするといったのは意外だ。そこまで私との縁に危機感を抱いているのか何なのか。

けど単純に、何もない無為な生活を送られるより、そっちの方がいい。いくら父相手といえど、毎日毎日テレビ相手に会話をするところを想像するのは、気分が悪い。

ため息がでる。

 

趣味さえしなくなるなんて、認知症まっしぐらだ。一人暮らしをしている私の家の住所を、毎日思い出す練習をしているらしい。けど、なかなか思い出せないらしい。

もうそこまで進んでいるのか。

 

それでも私は何もしない。